日頃は北九州市5地区に分かれて活動している5つの在宅医療・介護連携支援センターが集結し、
企画をした今年度初めての"在宅医療・介護従事者合同研修会“を開催致しました!
今年度の合同研修会のテーマは『在宅現場での暴力・ハラスメント』です。
1部では、「福岡県の在宅医療・介護現場における利用者等からの暴力・ハラスメント対策について」のテーマで福岡県保健医療介護部高齢者地域包括ケア推進課在宅医療係の主事 尾崎由芽先生にご講演して頂きました。
福岡県における現状の暴力・ハラスメント実態調査結果に加え、それを元に福岡県で行われている暴力・ハラスメント対策のための研修制度や補助金制度(安全確保対策費用の補助、複数名訪問費用の補助)の概要、対策マニュアルや相談センターについて詳しくお話頂きました。
このような素晴らしい取り組みがなされているにも関わらず、研修会終了後のアンケート結果では、取り組みを「しらなかった」と回答した方がどれも6割以上という悲しい結果が見えてきました。普及がすすみ、このような取り組みが広がっていく事で、職場環境の改善やもしもの時の安全確保、そして、暴力・ハラスメントに対する医療・介護者側の意識改革ができるようになるのではないかと思いました。
普段の業務の中では多忙な医療介護従事者の方々はゆっくりと制度やマニュアルを見る時間も持てない事がほとんどだと思います。その中で、わかりやすく簡潔に制度についてご講演いただき、必要性を改めて感じる事が出来たのではないかなと思います。尾崎先生、ありがとうございました。
2部では、「多職種で考える 在宅現場での暴力・ハラスメント対策」のテーマで関西医科大学看護学部・看護学研究科 教授 三木明子先生にご講演頂きました。
他県から見た福岡県での暴力・カスハラ対策の取り組みについての魅力や、医療介護職の暴力・カスハラに対しての認識の変容が必要な事、そして被害実態についてお話し頂きました。講演の中では、三木先生より様々な問いかけが参加者へ行われ、実際に「考えてみる」、「話してみる」中で様々な発見が得られる学び多い研修となりました。アンケートには90分という時間にも関わらず、「まだ聞きたかった。」「同じ内容でもいいので定期的に開催してほしい。」というご意見も頂きました。
また、新人看護師が利用者より暴力を受けた事例にて、三木先生が何度も話されていたのは、どんな場面でもまず、「被害者を守る」ということでした。専門職であると、被害を受けた看護師にも非があったように感じる場面はあるかのように言われがちですが、それこそが2次被害であり、守ってもらえなかった環境に居続けられないという思いが募り、離職につながる要因となるという講話内容がとても印象的でもあり、さらにとても共感する内容でした。
三木先生、背筋の伸びるようなご講演、本当にありがとうございました。
今回の研修会では、今後の在宅医療を支える医療・介護職が安心して支援を続けられる為に、そして、これから待ち受ける2040年問題に対応するためにもそれぞれの事業所、地域でしっかりと向き合う必要のある問題だと痛感し、自分の身は自分で守れるように、事業所は職員を守れるようにシステムの構築や見直し、制度の活用、そして何より、医療・介護職の暴力、カスハラへの意識改革が急務だと改めて感じることができました。
今回ご講演頂きました尾崎先生、三木先生そして、毎日多忙な業務の中遅い時間まで研修にご参加頂きました参加者の皆様、本当にありがとうございました。
研修会アンケート結果は⇒こちら