令和7年1月16日(木)19:00~20:40
令和6年10月17日の多職種連携研修会に続き、「パーキンソン病患者・利用者の摂食・嚥下障害について」の研修会を開催しました。
1回目では、退院前カンファレンスの一例を実行委員でロールプレイングを行いましたが、2回目の今回は体験型の研修会としました。
事例紹介の後、歯科医師よりVF検査の評価についての説明や理学療法士より食事の際の食べやすい姿勢について実際に環境を作って説明を行いました。
ミニ講座1
「パーキンソン病患者・利用者の摂食嚥下機能(口腔機能面からの視点と対応について」
小倉リハビリテーション病院 歯科医師 萩原 正剛先生
食べ物を口に入れて、噛んで、飲み込む…この一連のメカニズムについてのお話、パーキンソン病患者・利用者の食事の様子から摂食・嚥下機能が低下しているかもしれないと気づくポイント、そして対処と対策までご講演いただきました。歯科医師の立場から、「パーキンソン病は口唇、下、頬の筋力も低下する病気。是非食べている口の様子を見ていただきたい、また、口腔ケアやリハビリでお口を触って刺激を与えることも大事だし、正しい食べやすい姿勢・環境を作ってあげることも大切」とのお話がありました。
ミニ講座2
「嚥下機能が低下した方の食事の工夫」 東和病院 管理栄養士 二階堂 綾子氏
お話の冒頭に福岡県栄養士会が運営している「栄養ケアステーション」のご紹介をいただきました。皆様も、是非一度ホームページを検索いただくと事業内容や食支援についての情報を得ることができます。
さて、質問です!「あなたは、今朝朝食を食べましたか?それは、起床して何分後でしたか?起床して朝食までの間、何をしていましたか?」
カーテン、新聞、花の水やり、トイレ、更衣、シャワー、歯磨き・義歯、洗顔、化粧、洗濯、掃除、送迎、神様仏様、ご家族の世話、朝ごはんの用意、お弁当・・・
私たちの何気ない日常の何気ない行動は、口・喉・体・心(気持ち)の”食べる”準備を整えているという気付きをいただきました。利用者・患者さんも起床後直ぐに「はい!ご飯ですよ」と言われても準備が整わなければ、”食べる”一連の行動がスムーズにできないかもしれませんね。
お話の中で、印象に残った言葉。二階堂先生が、ある歯科衛生士さんから言われた言葉だそうです。『お口を洗わないのは、オムツを交換しないのと同じです』
口腔ケアの大切を端的に表現していますね
食事を口から食べることは、幸せを感じるときでもあります。病気があっても、ご本人の希望があればできるだけ口から食べることができるよう医療と介護が連携して支援できる地域になればと願っています
グループワーク
嚥下機能が低下した方に、よく「トロミをつけたお茶」の提案がされます。では、実際に3段階のトロミをつけたお茶を試飲していただきました。トロミが濃くなるにつれて参加者の皆さん、眉間にしわが見られます。炭酸飲料にトロミがつけられることをご存知でしたか?炭酸が抜けることなくシュワシュワを感じられました。お吸い物にもトロミを付けてみました(#^.^#)
”舌でつぶせるお弁当”を試食していただきました。感想は「おいしい!」です。
しかし、「何の食材を食べているかわかりますか?」と尋ねると、「・・・?」。色で判断したり、「多分○〇だと思う」という答えが聞こえてきます。
試食をしていただいたことでトロミの濃度と飲み込みやすさはイコールではない、姿勢や食事介助の際の声掛けの大切さなどを体験いただけたのではないでしょうか。詳細は、アンケートをご覧ください。
今回、実行委員の皆さんの沢山の協力を得て、研修会を開催することができました。小倉地区の多職種連携の推進には、参加者の皆さんの「力」も必要です。
ぜひ一緒に小倉地区で『最期まで住み慣れた場所で生活ができる』地域を創っていきましょう!